大判例

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仙台高等裁判所 昭和32年(う)51号 判決

原判文を挙示の証拠と対照するとき原判決の認定した事実は被告人本間は貸金業等の取締に関する法律(以下単に旧法と略称する。)にいわゆる貸金業者である合名会社新栄商会(昭和二八年八月一〇日日本商事合名会社と改称する。)の代表社員、被告人高橋は同会社の社員であるところ、被告人等は同会社の貸付資金獲得のため、共謀の上、同会社の業務に関し、起訴状一覧表第一表記載のとおり、昭和二八年一一月五日頃から同二九年六月一七日頃までの間一三回に亘り鈴木利市外三名から利息月三歩ないし五歩、返済期限一ケ月ないし六ケ月の約旨で借入金名義の下に合計金四六万五、〇〇〇円を受入れ、ついで出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(以下、単に新法と略称する。)施行後においても引きつづいて貸金業を行つている同会社の貸付資金を獲得のため共謀の上、同会社の業務に関し法定の除外事由がないのに業として起訴状一覧表第二表記載のとおり昭和二九年八月三日頃から同年九月三日頃までの間二回に亘り加藤熊一から利息前同一の割合、返済期限一ケ月の約旨で借入金名義の下に合計金四万円を受入れた(原判決が合計総額を五五万五、〇〇〇円と認めたのは誤記と認める。)というに在つて、原判決は右事実に対し結局新法第二条一項、第一一条一項一号、刑法第六〇条を適用しているが、法人の代表者等が法人の業務に関してした違反行為を処罰する旨をも規定するいわゆる両罰規定たる新法第一三条一項を明示していないことは反論のとおりであるけれども、右代表者等の事実行為者の処罰規定は総則的規定と解すべきであるから、処罰の直接根拠たる新法第二条一項,第一一条一項一号を適用している以上、右総則的規定を遺脱しても、所論のような理由不備等の問題は生ぜず、単に法令の適用を誤つたこととなるにすぎないと解すべきところ、この違法は未だ判決に影響すること明らかといいえないので原判決を破棄する理由とはならない。

(なお、原判決は法令の適用において、被告人等の所為は包括的に観察して預り金の禁止違反の一罪として処断さるべきものであるところ右行為の中間に法律の改廃があつて起訴状一覧表第一表記載の分は、新法附則第五項第一一項旧法第七条一項第一八条二号刑法第六〇条に又起訴状一覧表第二表記載の分は新法第二条一項第一一条一項一号刑法第六〇条に各該当するから刑法第六条に則り軽い新法を適用すると判示しているが、預り金の禁止違反罪についての新旧両法規はその改正の前後において本質的相違はなく改正前後に跨る各行為はこれを営業犯の一罪として新法(刑は新旧両法同じで軽重はない。)を適用すべきもので新旧両法の比照を行い軽きものを適用すべきものでない。それ故、原判決には法令の適用を誤つた違法があるが、原判決は判示各行為を一罪と認め結局新法を適用しているのであるから、この違法は判決に影響はなく、原判決破棄の理由とならない。

(裁判長裁判官 籠倉正治 裁判官 細野幸雄 裁判官 岡本二郎)

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